東京初台の新国立劇場では、毎年夏に高校生のためのオペラ鑑賞教室が開かれます。
観賞教室といえど一般公演と同じプロダクションを、一般のお客様と全く同じスタイルで観賞する豪華バージョン。 次世代を担う若者にオペラ観賞の機会を与え、劇場マナーに親しんでもらい、オペラファンの裾野を広げるという、文化庁お墨付きの大変有意義な取り組みなのであります。 仮にあったとしても当時の私には無理矢理観せられたオペラという印象しか残らなかったのではないでしょうか。 学校の音楽教育ではとかく壮大で重厚なクラッシック音楽が重視されがちで、ロッシーニ・ヴェルディ・プッチーニの歌劇なんかは軽い扱いでした。 音楽に興味のない普通の高校生に無理にオペラ見せても 「舞台芸術? それが~? 関係ないし~」 って感じが大方の反応です。 マエストロ登場の拍手ではヒューヒュー声を掛けるし、ガムを噛んだり、携帯開けたり、座席を乗り越えたり・・・ 高校生元気良すぎ! もっと公共マナーを学んで下さい! 高校生で初めてオペラを観るとしたら、どんな作品がいいのでしょうね。 <椿姫> <カルメン> <蝶々夫人> <トスカ> <ラ・ボエーム> 分かりやすく美しいメロディーで、誰でも知っている名作がやはりふさわしいのでしょうが、ここにあげた代表的オペラはどれもみな最後にヒロインが死ぬお話しばかりです。 病死でしょ? 自殺でしょ? それに他殺。 死に至るプロセスも<売春・誘惑・重婚・貧困・奸計・裏切り・殺人>と、週刊誌ネタのスキャンダルで満載です。 もともと王侯貴族を楽しませるものだったオペラも、時代が下ると共に大衆好みのリアルなテーマが受けるようになり、<市井の市民のスキャンダラスな事件簿>みたいな作品が増えたのです。 そしてヒロインはあくまでも美しく波瀾万丈。 運命の悪戯に翻弄されつつも、愛や信念を貫き通さなければならないのです。 その板挟みに苦しみ、死をもって人生を昇華させる。 死ねば良いってものじゃないのに、とりあえず死ぬのがヒロインなんです。 多感な世代に複雑な闇を抱えた大人達の訳ありな話しを観賞させて、果たして彼らに悪影響ないのでしょうか? 老婆心ながら私はふと気になりました。 もっと青少年向きの、夢と希望ある前向きなオペラはなかったのでしょうか? 有名作品ならとりあえずOKで、ドラマの内容まで吟味してないのでしょうか? それとも大人のいやらしさを教える、反面教育なんでしょうか? 「あんなのあり得なくね?」 う~ん、高校生。 かなり醒めてます。
by viva1213yumiko
| 2012-07-19 22:18
| オペラ・バレエ・映画
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