毎年12月になると必ず上演されるバレエ[くるみ割り人形] クリスマスの日を題材にしたファンタジックなバレエなので、大人から子供へのクリスマスプレゼントに最適です。 私自身子供の頃、夢のように美しい舞台に感激した事をよーく覚えています。 クララはクリスマスプレゼントにくるみ割り人形をもらう。 真夜中、広間は騒がしくなり、くるみ割り人形はねずみの王様と戦いを始める。 危ういところで人形の危機を救うと、人形は王子様に変身しクララをお菓子の国に連れて行く。 お菓子の国で楽しく過ごしたけれど、それは全てクララの夢でした。 という物語ですよね。 「みんな夢でしたとさ・・・」 このとてつもなく便利この上ない結末は、おとぎ話の定番ですが、くるみ割り人形の原作はこれ程単純じゃなく、もう少し込み入った状況設定がされています。 原作はE.A.T.ホフマンの児童向けメルヘンで、1816年出版の[くるみ割り人形とねずみの王様]なのですが、少女マリーはドロッセルマイヤーおじさんに「なぜくるみ割り人形は醜いのか?」という過去の因縁話を聞かされる、というくだりが入っているのです。 ニュルンベルグの王国にピルリパート姫という美しい王女がいたが、ねずみの魔女の呪いによって醜いくるみ割り人形に姿を変えさせられた。 その呪いを解くには世界一固いクラカーツクのくるみを割って食べさせなければならない。 それが出来るのは一度もヒゲを剃った事がなく、長靴をはいた事のない若者だけ。 一人の若者がそれをやり遂げて姫の呪いを解いたのだが、変わりにその若者が醜いくるみ割り人形にさせられ、さらに醜いが故に姫から結婚を拒否されてしまう。 占いによると、若者が自らの力でねずみの王様を討ち取り、醜い姿にも関わらず愛してくれる貴婦人を見つけなければならないらしい。 いまだにこの難問は解決せずに、若者はくるみ割り人形のままだという。 その話しに夢中になった少女マリーは、気の毒な運命のくるみ割り人形を救う決心をするのです。 そして結局、マリーの機転でねずみの王様を打ち倒した人形が、恩人マリーを人形の王国に招待します。 竜宮城みたいに素晴らしい、マジパン城での歓待。 けれど家に戻ってその話しをしても、誰にも相手にされないのです。 しかしマリーにとって人形の国の夢は現実の出来事と同じ。 ある日、くるみ割り人形に「私がピルリパート姫ならあなたが醜いからって蔑すまないわ」と言って、そのまま気を失ってしまいます。 気付くとドロッセルマイヤー氏の親戚の少年がおり、「あなたのおかげで呪いが解けました。結婚して下さい」とマリーに結婚を申し込みます。 こうしてマリーの憧れていた夢は実現するのです。 物語は幻想的な世界を紡ぎ出し、最後は夢なのか現実なのか分からないまま終わってしまいます。 果たしてマリーは本当に人形の国の王妃になったのか、いつもの空想のまま眠りについたかが曖昧なのです。 若者の方もそうです。 呪いが解けて現実となったのか、呪いが解けて夢になったのか・・・ ホフマンという作家の、夢幻の世界に傾倒する性質が伺えます。 ところで、この原作のお話しの中でくるみ割り人形は醜いとされてますが、ドイツ・エルツ地方名産のこのくるみ割り人形、私にはとても醜いとは思えませんけどねぇ〜 ホフマンの時代は、もっと恐ろしい、いかめしい顔が多かったのでしょうか? それとも素朴な人形がカーッと大口でクルミを齧る、その豹変ぶりを醜いと表現したのでしょうか? 王様とか騎兵隊とか警官とか、権力者の姿が多いのも「うるさいお偉いさんの口をクルミの実でふさいでしまえ!」という庶民の反骨精神がルーツなんだそうで由来もなかなか面白い。 支配者達に呪いをかけて人形にしてしまいたかったのは、案外国民の潜在的な願いだったのかも知れませんね。 まあいずれにしても、あなたが心から<聖なる結婚>を望むなら、一番最初にすべき事は、魔女の呪い(心の闇)を解かなければならないって事なんですねぇ〜 オーホッホッホッホ・・・
by viva1213yumiko
| 2012-12-12 23:59
| オペラ・バレエ・映画
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