魔女の軟膏

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いわゆる<伝統的魔女>というのは、キリスト教布教以前のヨーロッパで信仰されていた、土着の神々(特に豊穣の女神)に帰依する巫女のことを意味しています。

そのため、世界中の他の文化圏のシャーマンや呪術者と同様、魔女たちは薬物や毒物を扱う術を心得ていたのです。


教会による魔女弾圧が始まる前は、どこの村や町にも一人や二人は必ずいたであろう、魔女が調合したハーブ薬を飲むことは、素朴な民間の医療行為でもあったと思われます。

魔女たちが作っていた薬の多くは、自然科学の知識のない民衆からすると、魔法と関係があると思われていました。

そんな薬の中に、<魔女の軟膏>と呼ばれるものがあったのです。


魔女の作る軟膏類には、大きく分けて二種類のものがあったそうです。

ひとつは薬草や鉱物などを煮込み、水分を適度に蒸発させて作る、粘液状の外用薬。

今でいうと、タイガーバームとかメンソレータムみたいな感じでしょうか。

傷や痛み、筋肉疲労、骨折などに効果があったらしいのです。


そしてもうひとつが、もっとミステリアスで魔術的な力を持つ<魔女の軟膏>

おもにサバト(魔女たちのお祭り騒ぎの催し)に参加する魔女が、ほうきに乗って会場へ飛んで行くために使ったとされているので<飛び軟膏>と呼ばれました。

このサバトという魔女集会は悪魔に敬意を表すための饗宴で、少なくとも年に1回以上金曜日の夜中過ぎに開催され、独のブロッケン山など標高の高い荒れ地で行われていたとされます。

<飛び軟膏>を使う時、魔女は一糸まとわぬ姿となり、全身にまんべんなく軟膏を塗り、使用するほうきの柄にもそれを塗る必要がありました。


<飛び軟膏>は魔女自身が自分の体質や霊的志向に合わせて調合していたので、使用する材料や製法は様々ですが、<コウモリの血液><マンドラゴラ><毒ゼリ><白スイレン>などは共通の素材として使われていたようです。

それ以外に、魔女たちは自分の好みによってベラドンナや大麻、アヘンなどを添加したといいます。

これらのオプションを加えることによって、飛行速度を増したり飛行距離を稼いだり出来るのだそうです。

ベラドンナや大麻やアヘンで分かるように、<飛び軟膏>を塗ることで意識が変容し、幻覚状態に陥ることとなります。

さらに催淫効果のある<毒ゼリ>や<白スイレン>を加えるのだから、魔女たちは幻覚の夢の中、恍惚を体感していただろうと考えられます。

幻覚状態の中でのエクスタシーが、空飛ぶ浮遊感と密接に結びついたと考えられるのです。


なんと言ったらいいのでしょうか。

ある意味ちょっと虚しいような、逆にちょっと羨ましいような・・・

かつて、オウム真理教の尊師の空中浮遊写真が話題になってましたが、きっと彼も必死に空中を飛びながら、夢幻の世界を彷徨っていたに違いないのでしょう。

一部の優れた魔女たちは、本物の<飛び軟膏>でブロッケン山まで飛んで行き、悪魔の尻に接吻し、悪魔の刻印を貰ったのでしょうけど、出来の悪い魔女たちは幻覚作用が効くあいだ飛ぶ夢を見続けて、サバトに参加したと信じただけなのかも知れませんね。


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ところで、<空を飛ぶ夢>なら私も良く見てたんですよね。

かつて、もっともっと多感な頃には、ジブリアニメのヒロインみたいなファンタジックな夢を良く見ていたものです。

「飛ぶ夢を見た後は疲れる」という印象も残っています。

思うに睡眠中、私の脳内では勝手に、魔女の<飛び軟膏>が生成されていたのではないかとも考えられます。

子供の頃は比較的ぼんやりしてることの多い少女だったのですが、こと睡眠時に限っては誰よりも生き生きと、アストラル界での冒険活劇を繰り広げていたのかも知れませんね。




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by viva1213yumiko | 2013-02-07 00:55 | おとぎ話・こぼれ話 | Comments(0)
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