サマッラの約束

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ある召使いがバクダッドの市場で買い物をしていると、不意に死神に出くわしてしまい、震え上がりました。

死神は突き刺すような目で鋭く睨んで、召使いを釘づけにしました。

怖じ気づいた召使いは急いで主人の元に戻り、事情を説明し、そして「すぐにバクダッドを発ち、日が暮れる前にサマッラに着きたいので馬をお借りしたい」と願いました。

主人は承諾したので、召使いは馬を駆り、急ぎサマッラに発ったのでした。

その後すぐ主人は市場に出かけ、まだ人ごみに立っていた死神を見つけました。

主人は勇気を出して死神と向かい合い「なぜ今朝召使いを脅したのか?」と訪ねました。

すると死神は「違う、ここで会って驚いたのだ」と答えます。

「予定では今夜サマッラで会うはずだったのだが・・・」

                      スーフィー詩人  ルーミー


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ルーミーのこの寓話は、人の運命の皮肉な側面を表しています。

死神から逃げ出したその場所に、まさに死神も行く計画をしていたとは・・・

どう考えても召使いの運命は、死の予兆を道連れにしているとしか思えません。

死神との遭遇は、最初から決定されていた事なのでしょうか?

それともただの偶然なのでしょうか?



人が現時点で行う様々な選択は、現在や未来を決定して行きます。

[食べ物・飲み物・服装・書物・友人・会話・趣味嗜好]

毎日の小さな選択が積み重なって・・・

[進学・就職・結婚・離婚・自己実現]

人生のレールは徐々に敷かれて行くのです。

日々の選択の要因が、人の人生やキャラクターを決定して行くのです。


しかし現在・過去・未来のすべてが、宇宙がスッポリ収まる聖なる入れ物の中に存在しているとしたらどうでしょう。

私たちが日常目にしている世界よりももっと深いレベル、あるいは高次の世界というものが存在し、それがあらゆる現象を我々の現実世界に働きかけているとしたら?

日常世界の経験とは、より深い真実からのメッセージという事になりませんか?

もしかすると上位の世界の不可知の力は、我々人間を操っているのかも知れません。

神話が教えているように、人生の困難や試練は、神々の気まぐれが起こすのでしょうか?

運命の女神たちの紡ぐ糸で、我々の運命は始めから決まってるのでしょうか?


私は高次の存在ではないので、この召使いの宿命が何を意味してるのかさっぱり解りません。

しかし私に今考えられるのは・・・

「召使いが市場で死神と出会った時、彼の主人がしたように死神と正面から向かい合い、死の恐れを克服していたら、彼の運命は違ったものになったのではないか?」 という事なのです。


召使いは死を必要以上に怖れていました。

だからこそ市場で死神に出くわすような状況を、自ら無意識に生み出してしまったとは考えられませんか?

彼に死を怖れる気持ちがなかったら、市場に死神がいたとは、きっと気付く事すらなかったでしょう。

召使いは死に焦点を合わせる事で、むしろ死神と遭遇する羽目になってしまったのです。

一方、彼の主人はそれほど死を怖がってはいなかった。


いや、きっと怖れはあったのでしょう。

ですが勇気を出して、あえてその恐怖と向き合いました。

その結果、死神は思ったほど怖い存在ではないと分かったのです。

こちらの問いかけにも答えてくれて、結構フランクな奴だったりするのです。

その時点で、主人は死の怖れを克服したと言えるのではないでしょうか。

心の闇と良い関係を結んだからです。
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[あなたが抵抗するものが持続する]

世界とは本当に神話のようなものです。

私たちの深い心の信念が原因となり、今の自分の環境は作られているのです。

あなたの心はそれ自身が本当に愛してるもの、怖れてるものを、ただ黙って引き寄せているだけです。

だから人生の出来事に偶然はないのです。




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by viva1213yumiko | 2013-09-10 12:54 | おとぎ話・こぼれ話 | Comments(0)
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