大晦日ですね。 怒濤のように忙しく過ぎた師走も今日でおしまい。 また新しい一年が幕を開けようとしています。 大晦日の晩、日本人の大多数が家族と共に年越しそばを食べ、紅白を見て除夜の鐘を聞くのだと思うと、何だかちょっと感慨深いものがあります。 年越しとは、日頃から資本主義という拝金教に身を委ねている我々の心に、ささやかな恩寵が舞い降りて来る瞬間でもあります。 なんのかんの言っても、我々日本人は無意識的に仏教を持っているので、かなり救われてるんじゃないのかなぁ〜と思うのです。 大晦日の除夜の鐘を聞き、この一年の己の言動を振り返り108つの煩悩を祓う。 子供の頃から慣れ親しんだこの習慣のおかげで、我々日本人は自分を振り返り、清め、過去をリセットし、水に流す方法を自然に習得しています。 殆どの日本人はまず意識する事ないけど、これってちょっとしたプチ・セラピーじゃないですか・・・ 日本人はとても霊性の高い国民だと世界で賞賛されるのも、こういう伝統的な習慣が脈々と息づいて来たからなのだと思います。 いにしえより、人間には108つの煩悩があると言い伝えられて来ました。 実際に数えてみたら、私なんかもっとずっと数が多そうな気もするけど、それらの煩悩クンたちは大まかに3つの基本煩悩にカテゴライズされています。 人間の3つの基本煩悩(三毒)とは、<欲><怒り><迷い>だとされてます。 この3つがある故に、人間はいつまで経っても人生に<四苦八苦>してしまうのです。 煩悩をブロック出来ず無防備のままだと、自分が作ったあらゆるカルマの結果が自分自身の心にフィードバックされ、やがて現象世界のマーヤに苦しめられる事となります。 だからこの三毒をブロックするため、仏教では10種類の戒め(十善戒)を教えています。 1. 欲望を抑える 2. 怒りを抑える 3. 迷いを抑え真理を洞察する 4. 嘘をつかない 5. 批判しない 6. 悪い噂話をしない 7. 無駄話をしない 8. 生き物を殺さない 9. 盗まない 10. 浮気をしない 当たり前の常識で、極めて道徳的な戒めですが、追いつめられた時など人がついついやってしまいそうな身近な事ばかりです。 これらの戒めを守る為には、心を強く律し、正しく考えるトレーニングが必要になるのですが、仏教はそのトレーニング法として8つの方法(八正道)があると教えています。 生思惟・・思考内容を律す 正語・・・言葉を律す 生業・・・行動を律す 生命・・・生き方を律す 生定・・・集中する 生精進・・心を浄化する 生念・・・心のセンサーを磨く 正見・・・悟る 煩悩のコントロールの為には「今、何を考えるか」「今、何を話すか」、そして「今、どんな行動をするか」が常に問われているのです。 常に、「いま」 そして、「ここ」 それを意識する事が問われているのです。 つまり、いわゆる<ビー・ヒア・ナウ>って奴ですね。(古くて申し訳ない) <ビー・ヒア・ナウ>に心をフォーカスして生きる。 まさにそれこそが煩悩のコントロール法だったんですね。 仏教の面白さは「結局すべては心次第なのである」と教えるところです。 一神教の宗教は倫理がとても大事だと教えますが、仏教は心理が大事だと言ってます。 「この人生は別に神様から頂いたものではなく、すべてはカルマという因縁が寄り集まって生じたもので、実体なんてないんだよ」 「すべては変化していて不変のものなんかないんだよ」 「だから煩悩をコントロールすれば、悪いカルマの影響を滅し、苦のない安らかな境地に辿り着けるんだよ」 と教えている訳なのです。 四文字熟語の<自業自得>とは「自分がつんだカルマは必ず自分が受ける事になる」という宇宙の真理をあらわす言葉です。 善を成すのも悪を避けるのも、すべて他人の為でなく自分自身の為。 戒めを守らなくったって、別に誰に罰せられるって訳ではありません。 「だけどね・・・結局極楽往生に失敗しちゃうんだよ〜」 と、不適な笑みで体験学習の大切さを教えているのです。 こうして改めて調べてみると、仏の教えってクールで個人主義で、かなり醒めてます。 もしかすると仏教って現世的な<幸福の教え>というより、<楽になるための正しい教え>と考えた方が正しいのかも知れませんね。 今夜は除夜の鐘を聞きながら、煩悩と幸福について思いを馳せてみるのも良いでしょう。 皆さん、良いお年をお過ごし下さい。
by viva1213yumiko
| 2013-12-31 12:45
| 人生・霊性
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