おとぎ話しフェチの私には、愛好するファンタジー作品が多いのですが、その中でも特に<美女と野獣>は外せません。 アニメやバレエ、ミュージカルで有名なので、知らない人はいないですよね。 今回実写版が公開されたという事で、早速に観に行って参りました。 呪いの魔法で醜い野獣に変身させられた王子が、純粋な乙女の真実の愛で救われる永遠のラブ・ストーリー。 美しいですねぇ。 心洗われますねぇ。 そしてなぜか心が大きく揺さぶられる物語でもあります。(私だけ?) 傷つき孤独で頑な王子様ってシチュエーションには、子供の頃からめっぽう弱かった私。 これって、一体何なんでしょう? 私の中には傷ついたヒーローがいて、何か事あるごとにマグニチュード7クラスで心を揺すり、その度に動揺させられてしまうんです。 心の大地震に右往左往して、物語のヒロインに必要以上に感情移入する。 だからそうね、いつもハンカチ2枚は必須です。 苦悩する王子の元型が心の中で活動を始めると、一般社会のごく平凡な男性が気の毒な運命の高貴な人物に見えたりして、それも困ります。 実際この元型のせいで勘違いの恋に落ち、トラブルに巻き込まれたりする人も多いんですよね。 この元型パターンに捕まると、情にほだされて男女関係の深みにハマったりするので要注意です。 「気の毒な王子様を愛の力で救う物語」に、女性はなぜ心を揺さぶられてしまうのでしょう? それについて考えてみた事があります。 世界の民話・伝説には<呪われた王子>だけでなく、大蛇や鬼や悪魔や、いわゆる<怪物>と結婚する乙女の話しが多いんですね。 異界のものと結ばれる運命。 それ故に幸せになったり、あるいは不幸になったりする、そんな女性たちの物語です。 「純粋な心を持つ乙女によって救われる異形の英雄」 このテーマってすべての女たちの心に宿っているんだそうですよ。 だから古今東西、この主題からは色々な物語が生まれています。 <カエルの王子><ノートルダムのせむし男><オペラ座の怪人><ドラキュラ伯爵><フランケンシュタイン><エレファントマン><キングコング>・・・ ね、異形の英雄ってやはり語り継がれてるでしょ? 他にも<男はつらいよ>の寅さん、<羊たちの沈黙>レクター博士、フェリーニの<道>ザンパノなんかも皆んな異形のヒーローと言えます。 彼らは<普通とは違う>という点で、すでにポイントが高いのです。 英雄が醜い姿(あるいはエキセントリックな性格)で、しかもその事に苦悩を抱えているという点が、純粋愛を培養する秘訣になってるんですね。 この手の英雄ファンタジーの中には「人間は皆んな魔法にかかってる」って教訓が見え隠れてしています。 「自分は誰にも愛されるはずがない・・・」 恵まれた一国の王子と言えど、そんな否定的な呪いにかかってしまうのだから、その影響力を考えると、呪いの力(ネガティブなマインドブロック)の恐ろしさを感じずにはいられません。 呪いとは、恐るべきものです。 ここで皆さんも、是非とも自分に問いかけてみて下さい。 「自分は勉強ができない」「自分なんてダメだ」「自分には才能がない」「自分なんてモテっこない」 あなたもこんな呪いにかかっているとは言えないですか? 人は皆、多かれ少なかれ魔法にかかっています。 心の呪いを100%解く事が出来たなら、人生はすぐにキラキラと輝きます。 おとぎ話って、それを物語の形にして教えているんですよね。 心の呪いを解くというのは、異なる世界と触れて、そこから新しい価値を見つけ出す事です。 異界のものと出逢い、異なる世界とコミュニケーションする。 するとやがて理解という恩寵が訪れ、物事の裏にある真実の姿を見抜けるようになります。 「現象世界の背後に隠れた真実を知る知恵」 その知恵を使って呪いを解く事が、人生の上で何よりも大切な事なんですよね。 おとぎ話はそのための知恵を、優美な形で語りついでいる訳なんです。 追伸 映画<美女と野獣>は、衣装と美術が素晴らしく美しい。 ベルが着るオートクチュールみたいなドレスや、イバラが絡んだ古城、ご馳走の並ぶ燭台のテーブル、癒しの泉のある温室など、絵画を見るようです。 正直、おとぎ話フェチではない人にとって見どころはそこだけかも知れません。 けれど<気の毒な王子様>好きな方なら、きっと満足すると思いますよ。 監督は日本のアニメからかなりインスパイアされてるようで、<ナウシカ>や<ラピュタ>や<進撃>のいいとこ取りが多く、そこら辺も興味深かったです。
by viva1213yumiko
| 2014-11-14 16:56
| オペラ・バレエ・映画
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