ギリシャ神話にはタナトスという死の神様が存在します。 冥界のハデス神とも違い、タナトスは<死>そのものを神格化した神様です。 タナトスは黒衣をまとい、血色悪く陰気な顔つきをした有翼の老人で、鉄の心臓と青銅の心を持つ非情の神だとされてます。 夜の神ニュクスの息子で、兄弟である眠りの神ヒュプノスと、大地の遥か下方、タルタロスの領域に館を構えています。 そして、臨終を向かえんとする人の魂を奪い去って行くのが、彼のお仕事。 人間に割り当てられた寿命が尽きようとする、その時・・・ その人のもとへと赴き、髪を一房切り取ってハデスに捧げ、そしてその人物の魂を冥界へと連れて行くのです。 英雄の魂はヘルメスが冥界に運び、凡人や罪人の魂はタナトスが運ぶと言う。 私も死ぬときはタナトスさんのお世話になるんでしょうねぇ〜 髪はざっくりとやってもよござんすよ。 タナトスさん、その節はひとつよろしくお願いします。 心理学用語におけるタナトスとは「攻撃や自己破壊に傾向する死への欲望」を意味します。 言い出しっぺはフロイト。 当然、このギリシャ神話から名付けられました。 人間のさまざまな欲望の最下層には、生き抜くために必要な生存欲求が、本能として基盤を成しています。 ピラミッド型の<マズロー欲求段階説>で習いましたよね。 しかしその生存欲求のすぐ裏側には、コインの裏表のようにタナトス欲求(死への欲求)が張り付いているんだそうです。 つまり人間には心の奥で生き残りたいと強く願う反面、それと同時に生命を破壊してしまいたい、死んでしまいたいというアンビバレンツな欲求も眠っているというのです。 早死にするスターや英雄、夭折の天才たち・・・ タナトスのマジックにかかる人間って結構多いんですよね。 彼らの生き様がむしろ伝説のように語り継がれるのは、人間の深層に存在するタナトスへの憧憬を、代弁して見せてくれてるからなのかも知れません。 実際の話し、あなたの周りにもひとりやふたりぐらい、生き急いでるような危うい人物が見つかるのではありませんか? 誰でも一度くらい自殺願望持った事もあるかと思うのですが、このタナトスへの欲求ってのは、一体なぜ沸いて来るのでしょう? 自然界の動物は「死にたい」などとは思わないものですよね。 不眠症で冬眠を放棄したクマとか、鬱でメランコリックなサイとか、そんなの聞いた事ありません。 人間だけが死を考える生き物で、死を恐れ、敬い、憧れすら抱いてて・・・ 何だか一筋縄では行かない、かなり不可思議な情動を持っているのです。 あちらの世界にいる時に、こっちの世界を夢見てて、 こっちの世界にいる時に、あっちの世界に憧れる。 光を追うと危ないよ。 必ず闇がついて来る。 生きることと死ぬことは、いうなれば背中合わせのパラレルワールドです。 物理学でも「可視的な世界の背後には不可視の世界があり、それは普段隠れている」なんて、そこまで分かっちゃってるのです。 生きる事と死ぬ事の間には、どんな違いがあるのでしょう。 次元のひずみに落ち込んで行くような感じなのでしょうか? 人間の中にまどろんでる能力が目覚めれば、隠れた不可視の世界に参入出来るようになるのかも知れません。 けれど永遠の命を渇望しすぎて、生きる屍みたいな人生を送っては困りものですよね。 現実世界とスピリチュアル世界・・・ あくまでもその兼ね合いが大切です。 生きる時も死ぬ時も、この世もあの世も中間世も、100%体験し尽くすのが一番の理想なんじゃないかって、私はそう思っているんですよね。 誰もがいずれは死ななければなりません。 あの世に旅立つその日には、家族も名誉も財産も、きれいさっぱり物質次元に置いて行かねばならないのです。 そこから先へは、ただ愛だけを携えて、またひとり旅を続ける事になっているんでしょうね。 おまけ: タナトスはゲームの世界にも存在してるようで、フィギュアまであるという。 神話世界もカジュアル化の波が押し寄せてるんですね〜
by viva1213yumiko
| 2014-11-30 12:42
| おとぎ話・こぼれ話
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