オペラにしてはちょっと異質の、アンチヒーローの物語です。 舞台は17世紀のスペイン、女とあれば誰でも口説き落とし、そして裏切る、伝説のドン・ファン(伊語でドン・ジョバンニ)のお話しですね。 プレイボーイの代名詞、ドン・ファン・テノーリオはとんでもない悪人です。 女たらしの傲慢な貴族で、自称「愛の運び手」 ひたすら女を追いかけて、快楽だけに生きる男。 権力を傘に従者をこき使い、口先で女を騙し、強姦もすれば殺人も犯す。 極悪非道の色事師です。 ジョバンニの従者レポレッロは、たった3日で捨てられた、かつての妻エルヴィーラのため、懐から帳面を取り出します。 ドン・ジョバンニの毒牙にかかった過去の女たちの名簿を見せて、アリア<カタログの唄>で彼女を慰めるのです。 奥様、これが旦那の女のカタログでございます。 私が作ったものですがね。 見て下さい。 イタリアで640人、ドイツで231人、 フランス100人、トルコ91人、 ここスペインでは1,000と3人 金髪・栗色・亜麻色、 太いの・細いの・年増の女 金持ちだろうが、醜かろうが、 スカートさえはいていれば、 誰でもいいんです。 これって、あり得ないカタログじゃない?(笑) しかし皆さん、驚くなかれ。 実際この世には<色情症>という、れっきとした病気が存在しているのです。 Wikipediaにはこのように記されています。 <色情症>とは、性欲が以上な亢進状態になる症状である。 相手から根拠もなく愛されていると錯覚したり主張する妄想観念型や、性機能障害による性欲の抑制欠如が原因と考えられる異常性欲型などがある。 異常性欲型は、男性ならサチリアジス、女性ならニンフォマニアと呼ばれる。 また男性色情症には、不特定多数の相手と性的快楽を追求しようとするカサノヴァ型と、特定の相手にこだわり、その過程に快楽を追求するドン・ファン型とがある。 色情問題をこのように西洋医学的に追求するのもよろしいのですが、古来より我が国には、妙にドロドロしていて、それ故になおさら魅力的な<色情症>へのアプローチがありました。 いわゆる<色情霊><色情因縁>という奴です。 色情霊とは性的な恨み・想いを残したまま霊魂がさまよい、女性や男性を目に見えない状態でダメージを与えることを指します。 仮にあなたが性的執着のある霊、色情因縁を持つ霊に憑依されたとしましょう。 すると、恋愛が上手くいかなくなったり、性的な悪夢を頻繁に見たり、不倫や離婚を繰り返したり、性的欲求が抑えられなかったり、誰とでも性行為が出来たりと、かなり厄介な問題が起こりがちになります。 憑依には死霊の場合と生霊の場合があるのですが、まあ結局のところ、色情霊は性欲を発散するためにターゲットの身体を利用したい訳なのです。 色情霊に犯された人の体験談では、胸や背中に触られた感覚に襲われ、身体にキスマークが残ったり、爪を立てたような引っ掻き傷が残ったり、本当に性交渉を持ったような感覚に襲われたりするらしい。 そこに快感を感じ、何度も招き入れ、霊と性交渉を持つと、生気を吸い取られ寿命が縮まります。 色欲に強い執着を持つと、このような色情霊に憑かれやすくなるんですね。 好きな人と結ばれることを執念のように強く望んで亡くなった人や、逆に異性に縁のなかった人、禁欲的な生活を強いられてた人などは「死後自ら色情霊となってさまよう」なんて言われます。 また生きている人間の想念も、想いが遂げられないことが怨念へと変わり、生霊になってさまようと言います。 つまり「色情霊はそこかしこに存在している」ってことになりますね。 色情霊に狙われがちな人は、無意識のうちに性的なことを汚らわしい、もしくは面倒だなどと、否定的な見方をしている場合も多いらしい。 色情霊のバイブレーションは、性に対するネガティブな想念を嗅ぎ付けてしまうようなのです。 不規則な生活、昼夜逆転などの怠惰な状態もつけ込まれやすい。 他人に必要以上に同情的な人も危険です。 心を強く持ち、心身の浄化に励み、精神力を整えることが大切なんですね。 人を愛することは、何ものにも代え難い素晴らしいことです。 けれどそこにエゴや執着があるうちは、多分それは本物の愛とは言えないのでしょうね。 過剰な想いや執着を手放して、相手が自由に生きる権利、選択する権利を認めなければなりません。 執着を握りしめ、決して手放さそうとしなかったら、結局は自分を地獄へ追い込むことになってしまうでしょう。 オペラ<ドン・ジョバンニ>のラストがそうだったようにね。 我々はドン・ファンから様々なことを学べますね。 エゴや執着を超えて、自分の心に従うことの大切さを、別のドン・ファンはこう教えてくれてます。 いかなる道もひとつの道にすぎない 心に従う限り、道を中断してもさげすむ必要はない あらゆる道を慎重によく見ることだ 必要とあらば何回でもやってみるがいい そして自分に、ただ自分ひとりにつぎのように尋ねてみるのだ この道に心はあるかと 心があればいい道だし なければ、その道をいく必要はない カルロス・カスタネダ 「ドン・ファンの教え」
by viva1213yumiko
| 2015-02-26 12:32
| オペラ・バレエ・映画
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