蜘蛛の糸

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ある日の事でございます。 

御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。

池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のように真っ白で、そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居ります。

極楽は丁度朝なのでございましょう。


優雅な文章で始まる、天国と地獄の仏教説話。

芥川龍之介、<蜘蛛の糸>でございます。


地獄に堕ちた極悪人カンダタを救ってあげようと、お釈迦様が一本の蜘蛛の糸をたらします。

カンダタは糸をつかみ、極楽に上がろうとする。

しかし救いの糸を独り占めにし、すがって来る他の亡者たちを振り払おうとしたので、蜘蛛の糸はプツンと切れて、カンダタは再び地獄に堕ちてしまうのです。

お釈迦様は少し悲しい顔で、無知なカンダタを見降ろしますが、極楽のハスはそんなことお構いなし。

ただ絶え間なく良い香りを放つばかりでありました。


これは因果応報のお話しです。

因果応報・・・つまりカルマのことですね。

<蜘蛛の糸>とは仏教説話を通じ、カルマ論を教える[A Story of Karma]だったのでございます。

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宇宙の基本法は、何と言っても原因と結果の法則です。

その法則とは普遍・不滅で例外なし。

良い事をすれば良い事が返って来るし、悪い事をすれば悪い事が返って来る。

良きにつけ悪しきにつけ、必ず人は自分で撒いた種を刈り取らなければならないのです。


「てめぇたちの悪だくみ、この遠山桜がちゃんとお見通しでぇ!」

これは遠山の金さんの決めゼリフですが、そんな事改めて宣言しなくても「大丈夫、お天道様が立派に悪事を裁いて下さいますよ」ってのが、この原因と結果の法則であります。

だから正義感が強すぎてすぐに喧嘩ごしになっちゃうという、そんなあなたも安心していいんですね。

天に向かってツバ吐けば、まっすぐ自分に落ちて来る。

そのように、自分のした事は全部自分に降りかかって来るものです。

あなたが裁いたり怒ったり説教したりしなくても、宇宙が代わりにちゃんと面倒見てくれます。

善因善果、悪因悪果って奴ですよ。

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けれど遠い過去のどのような原因が、今の自分にどんな結果を生み出すのか、我々のレベルからは単純に判断出来ないのが玉にきずです。

人によっては「地獄行きを経験することで自分のカルマを解く」ってことも、やはり実際にあるみたいですよ。

そういう人はチャレンジャーなのです。

苦しみの体験を徹底的に味わうことによって、土壇場で開眼し、一挙に借金の返済を終えるようなそんなケースですね。

なので長い目でみると、地獄の辛さも「よきこと」の前兆だと言えます。

宇宙のタイムスパンとはそれっくらい、気が遠くなる程、長いなが~いものなのです。


お釈迦様が下さった、救われる僅かなチャンスを生かせずおしゃかにし、空しく地獄の底へ転落して行くカンダタ。

<蜘蛛の糸>には愚かな行為を通して、自分の利害の及ぶ狭い範囲しか見ることの出来ない、人間の悲しさが描かれています。


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これは余談なんですが、本物の蜘蛛の糸っていうのは鋼鉄を上回る強さと、伸縮性・耐熱性を合わせ持つ高性能素材らしいですよ。

仮に直径1㌢の糸で蜘蛛の巣を張ったとしたら、ジャンボジェットをトンボのように捕まえられると言います。(驚)


お釈迦様よ。

本当にカンダタを救おうと思ったならば、このぐらいの蜘蛛の糸を降ろして欲しかった。

高みから救いの糸を垂らしては、「結局自分次第なのよ〜」と亡者たちを弄ぶ。

どこか不条理を感じるホトケの慰みであります。


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天国から極太の糸をたぐり寄せられるかどうか・・・

それはあなたのカルマの量で決まると言えます。 

けれど、必ずしも過去のカルマだけで決まる訳じゃありません。

プラスのカルマを自ら創造する(善行する)ことで、糸をどんどん丈夫にすることが可能です。

自分の思考と魂との間に軸が出来、ブレがなくなればgood !

その糸を辿ってどこまでも高みを目指せます。


でもそのためには内に宿る魂をそのまま具現化出来るような、強いパーソナリティーになる必要があるんです。

マインドと魂とが一体化した、そんなパーソナリティーと言いましょうか。

小さなエゴを乗り越えて、<自分と環境><自分と世界>とを統合出来る、そんな意識レベルが必要です。

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それが可能になった時。

その時のあなたはきっと、あなた自身がスパイダーマンみたいになってると思いますよ。

スパイダーマンがビルを渡る、しなやかで強い蜘蛛の糸あるじゃないですか。

手のひらからシュッと投げる、あれです。

きっとその頃のあなたには、お釈迦様の救いも必要なくなってるんじゃないかと思いますね。

むしろ衆生を救うため、糸を投げる役を担うことになるでしょう。

人々に愛という名の<蜘蛛の糸>を、1本1本手渡して行くのです。

美しい<蜘蛛の巣>が世界中に張り巡らされるその日のことを、しっかりイメージしながらね。

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いずれにしても「ああしたい」「こうしたい」という己の欲望だけで登って行くと、本当にプツンと糸が切れることが起こったりするんです。

だからあなたを真実の幸福に導いてくれる、必ずそんな糸を見つけ出すようにして下さいね。




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by viva1213yumiko | 2015-08-15 19:39 | おとぎ話・こぼれ話 | Comments(0)
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