映画<マトリックス>は、コンピューターにプラグインされ、仮想空間で生かされていた主人公が、「真実に目覚め、心の囚われを解き放ち、眠っていた能力に目覚める」というそんなお話しでした。 映画の中で賢者モーフィアスは、主人公ネオに向かってこう言います。 「現実とは何だ? 君が感じるもの、匂いを嗅ぐことの出来るもの、味わい見ることが出来るもの、それを現実というなら、現実とは脳で解釈された単なる電気信号に過ぎない」 おっと~ これって、まるで般若心経そのものみたいじゃないですか。 「色即是空・空即是色」のあれ、あれですよ。 モーフィアスのアドバイスは仏の教えに良く似ています。 とてつもなくクールでかっこいい! あまりにクール過ぎて、何だかもの哀しさを感じる程です。 自分が感じるもの、そして味わい見ることが出来るもの、それらが全て「単なる電気信号に過ぎない」ですって? そうすると、昨夜聞いたバイオリンコンチェルトも、バレンタインに食べた高級トリュフも、皆んなただの電気信号だったと言うのでありましょうか? そんなぁ~ そんなのってないですよぉ。 この世に存在する、色とりどりの美しいものたち。 脳はそれらを単なる信号として解釈してるなんて・・・ 何だかビミョ~な気持ちになりますね。 野に咲く花々も、木漏れ日のきらめきも、寄せては返す波音も、皆んな脳が送るシグナルだったとは、余りにも切ない話しじゃありませんか。 我々が現実と呼ぶもの。 それは脳の信号によって作り出される思い込みの世界。 実体があるようで、実体のない世界です。 そしてその幻想のような世界を、ほとんどの人間は<囚われた心>を抱えたまま生きる。 真実とは異なるものを後生大事にしっかり握りしめ、決して手放さずに生きてるんですね。 古代ギリシャの哲学者プラトンは、その様子を洞窟の中の囚人に例えました。 人間は洞窟に縛り付けられ、後ろを振り向くことが出来ない囚人と同じだ、と言ったのです。 唯一、松明の明かりで壁にぼんやり映る影を見ることだけが出来る。 だから外に明るい太陽の光があるとは信じようともせず、映った影を真実と思い込んでしまう。 それが我々人間の姿である、とプラトンはそう考えたのです。 現実とは何なのでしょう? 現実とはあなたが現実だと信じているもの、そのもののことなんですね。 私たちはひとりひとり、それぞれの心の宇宙に住んでいます。 現実の世界とは、それがネガティブであれポジティブであれ、我々の内面の状態を投影する影のようなもの。 つまり私たちの信念そのものが、私たちの経験を決定づけるプログラムそのものです。 一度心が何かを確信してしまうと、それが物理的現実になって行く。 そんな風にして、この世界は成り立ってるんですね。 「人間の脳はコンピューターシステムに似ている」と良く言われます。 思考という信号は、コンピューターと同じように脳内で情報処理されるんです。 仮に主人公ネオのように、電脳空間にプラグインしてしまったとしましょう。 あなたは肉体をプログラムに拘束され、脳をプログラムで支配されている。 それを現実と信じ込んでいる。 そうなると、そのプログラム自体ハッピーなものなら、人生は明るく楽しいと感じるでしょう。 けれどプログラムがアンハッピーなら、人生とは苦しく辛いものだと感じてしまいます。 我々は自分が信じる信念に見合う物事を、人生上で経験する宿命にあります。 つまり我々は、信念というプログラムの指示に従って生きる生き物なんですね。 信念が現実のパターンを生み出してる訳です。 だからこそ、そこから<心を解き放つこと> それが最も大切なこととなります。 美女トリニティーは「あなたが生きてるこの世界はコンピューターによって作られた仮想現実だ」とネオに伝えます。 そして「勇気を持ってそこから飛び出し、真実を見つめなさい」と教える。 <心を解き放つ>とはそういうことを指してるんですね。 You are the prison of your mind, (君は君の心の囚人である) 人間の心を支配しているのはマトリックスそのものなのです。 これが現実だと思い込んでる自分を少しだけ疑ってみる。 すると色んなことが見えて来るのかも知れませんね。
by viva1213yumiko
| 2016-02-24 11:49
| オペラ・バレエ・映画
|
Comments(0)
|
カテゴリ
検索
最新の記事
以前の記事
2021年 11月 2020年 12月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 more... 記事ランキング
タグ
|
ファン申請 |
||