究極のパクチー・エクスペリエンス

a0253145_1262879.png

「これは禁断症状の発作なんだろうか?」

と、そう思えるくらい無性にエスニック料理が食べたくなる時があります。

突発的に訪れる、エスニックに対する欲望。

どうやらそのほとんどは、香味野菜パクチーへの欲求だと分かりました。

それは私だけではありません。

友人たちとタイ料理店へ行く計画中、パクチー中毒の恐ろしさを目の当たりにしたのです。

友人A 「ははん、偉そうなこと言ったってダメよ。ほらね、体がこんなにパクチー欲しがってんじゃない」

友人B 「くっ・・・た、確かに欲っしてるわよっ!」


アルコール、ギャンブル、薬物、SEX、人間関係、仕事、買い物・・・etc,

世の中には様々な中毒があるが、パクチーの禁断症状も決して侮れません。

一度ハマると他の香味野菜じゃ物足りない体になってしまうのです。

友人たちは、普通の薬味では決して満たされない者同士、お互いの体を慰め合っていたのだ。

パクチーはクセになってしまうんです。

人間やめますか? それともパクチーやめますか?

a0253145_1110733.jpg


パクチーとはセリ科の一年草で、独特の香りが特徴です。

英語でコリアンダー・中国では香菜(チャンツァイ)・インドではダニアーと呼ばれ、暖かい地域なら世界中どこでも育ち、昔から医療や調理に用いられて来た植物です。

古代エジプトではマラリア薬だったし、亡骸と一緒に墓に葬る習慣もあったそうですよ。

現代でも炎症緩和・浄血作用・体内毒素排出などの薬効が認められています。

ビタミンA・B2・Cが豊富なので、老化防止・アンチエイジング・気分鎮静・食欲増進・消化器官活性化などに効果があり、中華・タイ・ベトナム・インド・メキシコ・ポルトガル料理には欠かせない食材です。

a0253145_1214531.jpg


アジアンエスニック料理が好きか嫌いかは、ひとえにこのパクチーを受け入れられるかどうかに掛かっている。

あるアンケートによると、パクチーを好む人と好まない人の比率は50対50。

<パクチー好き>派と<パクチー嫌い>派、まさに真っ二つに分かれるのだそうです。

パクチー嫌いの人にその理由を聞いてみると、口を揃えて「あの香りには耐えられない」と言う。

研究によるとパクチーNGの人は、パクチーOKの人とは生まれつき遺伝子構造が違っていて、それが原因でパクチーを受け付けないらしいのだ。

フレッシュな生パクチーをもぎった時に、指先に残る何とも形容しがたいあの匂い。(それはカメムシと同じ匂いなのだが)

NG派は遺伝子情報のせいで脳が食べ物とは認められず、芳香剤とか石鹸みたいな何かと判断してしまうのだそうです。

a0253145_11104875.jpg


一方でパクチー愛好家にとって昨今のパクチーブームは、夢に見たパラダイスの到来に違いありません。

最近では大手食品メーカーからもパクチー関連商品が続々と発売され、スーパーの陳列棚も賑やかです。

パクチーソース・パクチーペースト・パクチーパウダー・パクチードレッシングなどが並び、もう一部の愛好家のものだけではなくなっています。

特に平成生まれ以降の若者はいわゆる<パクチーネイティブ>で、日常的にパクチーと接し成長して来ている。

<パクチーネイティブ>はそれまでの日本人の嗜好とは異なり、ネギ・ニラ・シソを扱うように軽やかにパクチーとお付き合い出来るのです。

彼らのような<パクチーネイティブ>が着実に増えれば、日本の食文化はまた一歩確実に進化するでしょう。

伝統的な和食文化と市民権を得たパクチーとの、華麗なる融合がなされるのです。

パクチーご飯やパクチー味噌汁だけでなく、パクチーのおひたし・パクチーのごま合え・酢みそ合え・パクチー天ぷら・パクチーしゃぶしゃぶ・すき焼きパクチー・ネギトロパクチー・パクチーのり巻き・パクチーそうめん・パクチー豆腐・納豆パクチー・パクチー卵とじ・つくねパクチー・お刺身パクチー・パクチー刻み漬け・パクチー鍋。

八寸・お造り・煮物・蒸し物・揚げ物と、新しい日本食文化(ヌーベル・ジャポネーズ)が数多く生まれることでしょう。

おやつだったらパクチー羊羹・パクチー饅頭・パクチー煎餅・パクチー草餅。

パクチーアイスやパクチープリン・パクチーカステラは子供にも人気です。

パクチー茶と一緒にどうぞ召し上がれ。 

パクチー・スムージーやパクチー・ソイラテなど、お洒落な女子に流行りそう。

大人にはパクチー・ビールやパクチー・モヒート、いかがでしょうか? 

ほらね、パクチーメニューのフルコース、結構行けそうでしょ?

a0253145_11113579.jpg


このようなパクチー勢力の拡大は、<パクチー嫌い>派にとって暗黒時代の到来を意味します。

パクチーOK勢力とパクチーNG勢力とのあいだに対立構造が生まれ、小競り合いが起こるかも知れません。

パクチーヘイトの極右勢力、<嫌パク連>の活動家は「たとえ死のうともパクチーだけは口にすまい!」と盛んに弾糾する。

パクチー原理主義団体<真性パクチスト同盟>による彼らへの弾圧が強まり、<嫌パク連>は捕らえられ、裁かれ、公衆の面前で吊るし上げられる。

自己批判を強要されるのだ。

「パクチーヘイトの咎を繰り返さぬよう、被告人には再教育が必要である」

「よって、被告人に<パクチー責め>を執行する!」

a0253145_1223712.jpg

活動家は濃厚なパクチーの臭気を嗅がされ、一瞬にして意識を失いました。

どのくらいの時間が経ったのだろう。

気づいた時は青々したパクチーベットの上、生パクチーで猿ぐつわされ身動き出来ず拘束されていた。

再教育が始まるのだ。

パクチー信者の女たちが、よってたかってパクチーの絞り汁を両目に擦り込む。

そしてパクチーを束ねた丈夫なムチで、罵声を浴びせながら満身の力でムチ打つのだ。

「パクチー様に逆らうとは不届き者め!」

「ええい、パクチー様に服従を誓うのじゃ!」

パクチー様への帰依と自己放棄を誓うまで、<嫌パク連>への過酷な拷問は続くのであった。

a0253145_12142315.jpg


意識の極限の壁を越えた時、そこには新しい地平がやって来る。

どんなにパクチー嫌いの人間でも、このイニシエーションを体験したなら脳のシグナルが根本から変わってしまう。

これはある意味<聖なる苦行>なのです。

<聖なる苦行>が遺伝子情報の書き換えを促し、<嫌パク連>をパクチーフリークに変容させるのだ。

苦痛と快楽は表裏一体。

ランナーズ・ハイと同様のパクチー・ハイをもたらすに違いありません。

ああ、それは究極のパクチー・エクスペリエンス!

別次元の楽園に誘う、究極の体験なのであります。




な〜んて、これは単なるホラ話し。

別に<ニラ責め>でも<春菊責め>でも、何でも構わないんですけどね〜

a0253145_11125394.jpg

[PR]
by viva1213yumiko | 2016-08-13 16:29 | 衣・食・住 | Comments(0)
<< 扁平足という名の病い シエラザード世界選手権大会 >>