那須岳は今なお続く活火山で、泉質の異なる7ヶ所の温泉<那須七湯>が古くから良く知られています。 さらに加えて現代では大小数多くの温泉施設が存在し、温泉フリークの私としては嬉しい限り。 事実「研修所を建設するつもりで地質を調査したら良い温泉が出てしまい、急遽温泉施設へと計画変更した」なんて話しも聞こえております。 常日頃から「温泉とご飯で満足出来れば、とりあえず人生の幸福の7~8割はカバー出来る」と豪語している私にとって、温泉の選択肢がたくさんあるのは幸福度指数を高めてくれるポイントにもなっていて、誠にありがたい事だと思っています。 こんな風に思うのは私だけではありません。 観光・産業・療養・健康・・・ 那須の皆さんは、日々何かにつけ温泉にお世話になっています。 温泉の発見以来1380年、一度も枯れる事なくこんこんと沸き続けてくれていて、まさに大地の恵みと言えるでしょう。 「感謝の気持ちを温泉の神様にあらわし、捧げものをして喜ばせたい」 そんな気持ちのあらわれが那須温泉神社の例大祭となっているのです。 山の温泉街の一番奥に建ち、観光ガイドにパワースポットとも紹介されている那須温泉神社。 地元の氏神なのでいつも初詣には参拝してましたが、秋祭りの夜にこんな神事が行われていたとは初めて知りました。 それは湯元の源泉から温泉を汲み取る<湯汲神事>と、その湯を奉納する<献湯神事>で、古くから伝わる厳かな伝統行事なのであります。 たくさんの宮司さん神主さんと、羽織袴の氏子さん達が神社を出発し、若者が担いで叩く太鼓の音に歩調を合わせ、分湯場まで提灯行列で進んで行きます。 小さな温泉街はたちまち聖なる気配に包まれてしまいました。 巫女装束に扮した地元の小中学生が温泉の湯を汲み、昭和天皇が詠んだ短歌に宮内省学部が曲をつけた<浦安の舞>を披露して、これがすごく感動的! 「浦安というのは穏やかな海を世界平和に見立てて表現した言葉で、ディズニーランドの浦安の事ではありません」なんて説明もあり・・・なるほど・・・ますます神聖度アップです。 そして汲み終えたお湯を神に捧げるため、行列は引き返し坂を登ります。 ゆったりとした太鼓の音と提灯の明かりに惹かれて、思わずついて歩いてしまいました。 神社はすでにすっかり冷え込んでいて、人々は松明の炎が揺れる中、儀式の進展を見守ります。 本殿の扉を開け、神に学を奏で、祝詞を捧げ、海の幸・山の幸を捧げ、そして温泉のお湯を捧げる。 どこかで見た夢のような、映画のような、デジャブのような美しい光景が目の前で繰り広げられ、じつにじつに素晴らしかった! 人間が何か自分を超えた大きなものにこうべを垂れる姿というのは、本当に美しいのものです。 温泉という自然界の恩寵に素直に感謝する素朴な日本人を見て、心がほっと暖かくなった、そんな秋の晩でした。 #
by viva1213yumiko
| 2012-10-10 11:41
| 季節・行事
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