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すぐそばにいる般若

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源氏物語に登場する姫君たちをアイドルタレントみたいに人気投票してみると、男性陣の一番人気は<夕顔>なのだそうです。


<夕顔>は家柄が良い訳じゃないので、プライドをひけらかすようなことありません。


たおやかで儚げで、逆らうことなく受け入れてくれて、「どうぞ私のこと好きにしていいのよ」って言ってるような、まっこと殿方にとって都合の良い女性です。


ところが女性陣の人気ナンバーワンは、物語の中でも最もキャラクターの立ってる<六条御息所>だそう。


物の怪になってまで<光源氏>に執着し続ける、いわゆる<重い女>ですよね。


なのに意外にも、女性たちにはそこが人気。


それはどんな女の心にも絶対に潜んでいる、あの厄介な魔物のせいでしょう。


すぐそばにいる般若。


プライドと嫉妬という般若が、女性たちの共感を誘うからなのです。

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平安時代。


それは怨霊信仰の時代です。


美しく高貴な教養人<六条の御息所>は、プライドと嫉妬とにがんじがらめにされ、すっかり行き詰まっておりました。


元皇太子妃の立場だというのに、7つも年下の愛人<光源氏>との関係が思うように行きません。


この行き詰まった愛憎劇、気持ちをどう納めたらいいのだろう?


もちろん世間体もある。


今さら引くに引けない状態で、焦りばかりが募ります。


挙げ句の果てに葵祭りの時、公衆の面前で正妻から大いに恥をかかされる。


この牛車事件をピークに<六条御息所>の追い詰められた魂は、肉体を離れ彷徨い出してしまいます。


プライドと嫉妬心・・・


強烈な彼女のその想い。


どうやらそれが生き霊を発動させてしまったようなのです。


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生き霊とは、強く念じることで<意志のある独立した魂>を作ってしまう現象のこと。


私たちの感情や欲望や想いが、実は向こう側の世界で実体化してることを意味しています。



スピリッツとは本当に不思議です。


人が何かを念じる。


するとその時点から、想念は自分の手元を離れ、見えない世界で形を作り始めるんですね。


初めはぼんやりしてハッキリとしませんが、想い続けることで想念形態はくっきりシャープになって来る。


そしてその想念は命を吹き込まれ、れっきとした生き物のように活動を始めます。


願望を成就しようと、関係者の元へ一直線に飛んで行くんですね。



思考は現実化します。


想念形態は条件さえ整えば、必ずや現象界に出現するものなのです。


だから心で考える想いには、いつも気をつけてなければならないんですね。


その想いに愛や思いやりがあって、人が良くなることを願う善良なものなら、それは高貴な良い生き霊と言えるでしょう。


でも誰かの不幸を願うような邪悪なものだったら、それはつまり悪霊ということになります。


その誰かさんにきっと良くない影響を及ぼすはずです。

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誰かを恨んだり憎んだりする。


すると、それに相応しい形の想念形態が作られてしまうのです。


透視能力者にはそのおぞましい姿がきっと見えてるはず。


そして、たとえ見えないとしても、感じ取ることなら誰もが普段してるはずです。


誰かに近づいた時、その人があなたにネガティブな感情や思いを持ってるかどうか瞬時に感じ取れませんか?


ほらね、これって誰もがすぐピンと来る類いのものなんですね。



このように見えない世界では、私たちの発した想念エネルギーがうごめいているんです。


それはまるで世界珍獣図鑑を、部屋中に広げて眺めるようなもの。


蛇や野獣や魔物やUMA。


鬼や天狗や狐や般若。


色んな生きものがそこらじゅうに息づいてるんですねぇ~(笑)

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悪意のエネルギーは意図的なものだけではありません。


人が無意識で発してる恨み・嫉み・憎しみが、その人から勝手に離れて悪さをし始めることもあるんです。



正妻に恥をかかされ、プライドと嫉妬がごちゃ混ぜになってしまった<六条の御息所>は、朦朧とした意識状態となって、ついに脱魂してしまいます。


肉体から離れた魂は、出産を待つ正妻の寝床へ赴き、意図せずに取り憑いてしまうんですねぇ。


しかし本人は、その間どんなことが起こっているのか分からない。


夢を見ているような状況なのです。



生き霊って、それを作った本人の意志とは、全然関係なく行動しちゃうみたいなんですよね。


<六条御息所>の魂は、自分の嫉妬の醜さを疎ましく思っています。


激しい嫉妬心を何とか押さえ込もうと、平常心を装って和歌を詠んだりする。


しかし、逆に理性で抑えようとすればすれほど、抑圧され閉じ込められた執念が反抗し、肉体を離れ勝手に悪さしてしまうんですね。


心の奥の情念は、ちっぽけな意志の力なんかより遥かにパワーが強いのです。


それまで幽体離脱の自覚など一度もなかった彼女ですが、自分の服や髪に、加持祈祷用の芥子の匂いが染み付いてることから、生き霊の正体が他ならぬ自分だったと初めて理解するのです。

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自らの嫉妬心が、知らぬ間に重大な結果を招いている。


そういうことって本当にあるみたいです。


心を抑圧した女。


思い込みの強い女。


彼女たちの心の葛藤が、いつ何時般若に変身してしまうのか検討もつきません。


実生活で貞淑で清潔な生活を送れば送るほど、内なる魂は理性の抑制を離れ、狂気を演じてしまう。


恐ろしいことですが、どんな女にもその可能性が秘められているのは確かです。

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女の心にはうねりがあります。


嫉妬や恨みの感情が、あなたに般若の面をまとわせる。


般若の原因を探ってみれば、それは辛く悲しい<恋の妄執>だったりするのです。



花は散り、ススキが揺れそよぎ、マツムシが寂しげに鳴くこの季節。


恨み妬みの般若の面が、月明かりを浴びて、ぼんやり浮かび上がる。



秋の気配は生き霊を呼びやすいですよ。


あなたもどうぞご用心、ご用心。


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by viva1213yumiko | 2016-10-24 14:29 | おとぎ話・こぼれ話 | Comments(0)