♬むっかし~むっかし~、浦島は~ 助けた亀に連れられて~ 竜宮城へ来てみれば~ 絵~にも描けない美しさ~♬ 亀卜(きぼく)のため捉えられた、無数のウミガメ達に思いを巡らせ黙想していたら、案の定<浦島太郎>が脳裏にこびりついて離れなくなってしまいました。 誰もが知ってる異界訪問のおとぎ話し<浦島太郎> 実は改めて思い出してみると、このお話しってとっても奥が深いんですよねぇ。 意味深な謎が多く、ただの動物愛護・善行推奨の子供向けおとぎ話とは思えません。 助けた亀のお礼のはずの「お・も・て・な・し」で、太郎は全てを失ってしまうんですからねぇ~ それって、あまりにも救いがないじゃありませんか。 「す・く・い・な・し」なのです。 ちまたでは割に良く囁かれているようですが、一体<浦島太郎>の教訓とは何なのでしょうか? 深遠な人生のテーマが、水面下に潜んでいるような気がしないでもありません。 それは、「人は良い行いをしたからといって、必ずしも幸せになれるとは限らない」なのか? 「人生山あり谷あり、上手い話しには裏がある」なのか? 「時間の進みは一定じゃない、楽しい時は早く過ぎる」なのか? 「子供のイジメ問題に大人が口出しするとロクな事がない」なのか? いずれにしても皮肉っぽくて、不条理に満ちています。 民族学の常識では、昔話の伝説というものは、ある家や土地との関わりを説明するために作られたストーリであって、本来は大人向けの物語というのが常識なんだそうです。 それに対しおとぎ話しの方は、後世、神に対する信仰が失われた時代になってから伝説が子供向けに変形されたものの事を指すのだそう。 <浦島太郎>伝説は万葉集の時代から語り継がれて来たお話しなのですが、室町時代の御伽草子に載ってる古い<浦島太郎>は、始めから亀なんか全然関係なくて、太郎が海の女神・乙姫の婿になるという設定だったようです。 古い時代の<浦島太郎>は、この土地からは神に見込まれるほどの英雄が出たという主題が潜んでいて、子供向けのおとぎ話しとは全く違うものなのです。 この伝説が子供向けに変形されておとぎ話になる過程で、太郎と乙姫の官能的な性描写の部分が子供には相応しくないとカットされ、代わりに亀を助けた話しが無理矢理持ち込まれました。 その結果、なぜ最後に太郎がお爺さんになってしまうのかが分かり難くなってしまったらしい。 しかし元を正せば、太郎は女神の色香に骨抜きにされ、精も魂も抜き取られて老人化してしまったという大人の教訓話しだったのです。 この手の<大人のためのおとぎ話し>って結構多いんですよね。 グリム童話なんかも、親殺し、子殺し、姦淫、人肉などの主題が多く、子供版のサイコスリラーって感じで、中世暗黒時代のおどろおどろしさ満載です。 その他にも私は以前、知人にポルノ版<白雪姫と7人の小人>の話しを聞かされた事もあります(笑) <浦島太郎>伝説も、<竜宮城キャバクラ編>とか<エイリアン・アブダクション編>とか、大人バージョンが色々あるのですが、その中でもとっておきの怖さを持つのがこんなストーリーです。 今は削除されてもう見れなくなってしまった、アニメ<世にも恐ろしい日本昔話し 浦島太郎>によると・・・ 漁師の太郎は母親と二人暮らし。 ある日、海へ行くと言って家を出た太郎。 実は、お茶やさんで遊んじゃっていたりするのです。 その時にふとした事で助けたお亀という女性に、どうしてもお礼がしたいと大きなお屋敷に連れて行かれます。 聞けばお亀はこの屋敷の使用人。 使用人を助けたお礼にしては豪勢すぎるんですが、珍しいキセルを吸わせてもらったり、美しい女中たちがあんな事やこんな事をしてもてなしてくれます。 その中でも太郎が一番夢中になったお竜という女性とは、毎日のように夢心地であんな事やこんな事を。 キセルの煙は太郎を心地良い夢の中へ誘います。 そんな折、お竜は太郎に「好意の印」と、箱をプレゼントします。 毎日夢心地の太郎ですが、ふと気が付くと、暗く広い牢の中に座っていました。 周りには自分と同じようにヨダレを垂らし、目の焦点は定まらない廃人同然の男たちが何人もいます。 目の前で死んでいく者もいました。 「ああ・・・」と顔を抑えると、太郎の顔の皮膚はボロボロと崩れます。 おそらく梅毒の症状でしょうね。 実はお竜は病気(やはり梅毒?)で、正常な男からはとても相手にされないような醜女(むしろバケモノ)でした。 キセルで吸わせていたのはおそらくアヘンか何かでしょう。 お竜に子供を授けるために町の若い男を屋敷に連れ込み、薬漬けにして相手させていたという事なのです。 太郎がどの段階で「これはヤバイ」と悟ったのかはよくわかりませんが、とにかく屋敷から逃げ出します。 なんとか屋敷の外に出ますが、その時すでに風貌は老人です。 やっとの事で海辺の自宅に辿りつきますが、家は朽ち果てており、通りかかった人に聞くと、「昔この家には太郎という男がいたが、ある日海にいくと行ったきり帰らず、母親は心労で死んでしまった」との事。 放心状態で崖に腰掛け、持っていた箱を開けてみると中にはキセルとアヘンが入っていました。 キセルを吸うと、煙の中に母親の顔が・・・ 何かを叫びながら、煙の中の母を追うように海に身を投げる太郎でした。 こわ〜い! <浦島太郎>がシュールで斬新なホラーに変身しております。 しかし考えてみると、<浦島太郎>に実話モデルがあるとしたら、案外こんなものだったかも知れませんよ。 島流しの男の猟奇事件に、ああでもないこうでもないと尾ひれがついて、伝説化してしまったのかも知れません。 いずれにしても海辺に住んだ、とんでもない男がやらかした何かが、人々の心に強い印象を残した事は間違いなさそうです。 昔話の英雄って、良くも悪くもとんでもない人たちの語り継ぎです。 キャバクラから無事帰還して来たぐらいでは、まだまだ英雄には程遠いので、よい子の皆さんは、くれぐれも勘違いしないようにしましょう。
by viva1213yumiko
| 2013-10-15 13:40
| おとぎ話・こぼれ話
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