突然ですが、マンドラゴラってご存知ですか? マンドラゴラは古代の医学書や古典文学、現代の映画や小説、アニメからゲームに至るまで、様々な場所で取り上げられている<魔法の植物>のことです。(別称マンドレイク) 映画<ハリーポッター>にも薬草学の授業か何かで登場して来るので、聞き覚えのある方もいるかも知れません。 魔法薬・錬金術・不死の材料・媚薬・精力剤・・・ フィクションの世界では何にでも使える<万能植物>として扱われている。 だからイメージばかりが先行し、マンドラゴラのことを空想キャラクターだと思ってる人が多い。 でも実はコレ、実在する植物なんです。 主に地中海から小アジアに見られる有毒の薬草で、愛らしい紫色の花を咲かせる。 でも最も特徴的なのは人間の身体にそっくりの、その<根>です。 根っこが二股に分かれていて、人間の姿形ととっても似ている。 だからそのせいで、古くから「魔力を持つ不思議な植物」として恐れられて来ました。 マンドラゴラの根っこには、幻覚作用や身体麻痺もたらす<アルカロイド>という成分が含まれていて、過食すれば死に至る強い毒性があります。 中世の頃はしばしば魔術の材料として用いられたらしい。 それが「魔法の力を持つ伝説の植物」という、今日のイメージの元になったようです。 噂には尾ひれがつき、やがて凄い効果の魔法の植物になった。 中世ドイツの女子修道院長、ビンゲンのヒルデガルドは「マンドラゴラは人間の形に似ており、だからこそ悪魔の悪行と軽力に似つかわしい」と言ったんだそうです。 まったくオドロオドロしい植物です。 正しくは春に咲く早咲き品種と、秋に咲く遅咲き品種との差なのですが、二種の違いが<オス>と<メス>になり、俗説は広がって行きました。 魔術の基本法則の中に<類似の法則>というのがあります。 「類似したものは類似の現象を生み出す」という法則です。 ほら、呪いのワラ人形。 人形を憎い人間に見立てて、釘を刺して呪うヤツ。 「類似のものに類似現象を起こす」のだから、典型的な<類似の法則>ですね。 中世のヨーロッパでは「人体に似た植物はその部位の病を癒す力がある」と信じられていました。 だから根っこが赤ん坊のような形なら、毎晩枕の下に置いて寝ることで女性は身ごもりやすい母体になる。 根っこが女性のような形だったら、男性は懐に忍ばせて意中の女性を射止められる。 目的に良く似た形の根であることが肝心です。 根っこの様々な形によって愛情や妊娠を授かり、幸運・富・力がもたらされると信じられました。 当時ヨーロッパ全土では、誰もがマンドラゴラの根を求めたので、詐欺師はまがいものを売っては大儲けしてたそうですよ。 またマンドラゴラは土から引き抜かれる瞬間に耳をつんざくような悲鳴をあげ、それを聞いた人間を殺す(発狂させる)とも言い伝えられています。 マンドラゴラの根っこは細かい根が複雑に密集し絡み合っており、そのために地面から抜くのが非常に難しく、無理やり抜こうとするとメリメリと音を立ててちぎれてしまう。 これが「抜くと悲鳴をあげる」という伝説の由来だそうです。 マンドラゴラは引き抜くと大きな悲鳴をあげ、それを聞いたものは死んでしまう。 だから安全にマンドラゴラを手に入れるためには、次のようにしなければならないのです。 採取に適した新月の暗い夜に、飼い犬を連れて出かけます。 そしてまずは耳栓をする → 根の周りの土を掘り起こす → 犬の尻尾と根をロープで結ぶ → 十分に離れる → 遠くに餌を投げる → 犬が駆け出す → マンドラゴラは引き抜かれる。 この一連のプロセスを守らなければなりません。 気の毒な犬は命を落とす。 けれど人間は無事マンドラゴラを手に入れられる。 マンドラゴラの叫びを聞いて死んだ犬はその場に埋めてやる、というのもお決まりのようです。 犬にとっては不条理だが、伝説はそのように伝承しているのです。 伝説は他にもまだあります。 「マンドラゴラは死刑台の下に芽を出し、絞首刑になった人の身体から滴り落ちる体液で成長する」 「マンドラゴラをワインで洗って小箱に保存しておけば、未来のことを教えてくれるし、不妊症の女も懐妊させる」 「マンドラゴラは成熟すると根が足となり辺りを徘徊する」 ここまで来ると植物というよりも、むしろ不思議な力を持つ妖怪ですね。 とにかく、マンドラゴラには人の想像力に強烈なパンチを与える何かがある。 どんな時代になろうとも、人は心揺さぶる不思議なパワーを求めずにはいられません。 数々のマンドラゴラ伝説が他ならぬその証拠になるでしょう。 マンドラゴラの姿は高麗人参にも似ています。 両方とも見るからに滋養がありそうですが、果たして味の方はどうなんでしょう? <マンドラゴラの参鶏湯>・・・? どうかなぁ? イケるのかなぁ? 魔術には「感染の法則」というのもあります。 「かつてひとつだったものは、分離した後も他に対して影響力を持つ」って、そんな法則です。 先住民の文化では「生き物の<いのち>を食べることでその生き物の力を宿すことが出来る」と考えるのですが、マンドラゴラを参鶏湯で食べたら、より一層強烈に<いのち>のパワーが得られそうですよね。 マンドラゴラも、人間もニワトリも、生まれる前は同じひとつの大きな<いのち>だった。 かつてひとつだったものがそれぞれに分離し、それぞれの与えられた<いのち>を生きる。 そして役目を終えて鍋の中で、再び<いのち>はひとつになる。 改めて<マンドラゴラの参鶏湯>、いかがでしょう?(笑) 相当パワーつきそうです。 地球には奇妙な植物がいっぱいです。 不治の病いを癒す植物も、まだまだたくさん存在すると言われてます。 人間はマンドラゴラのことを<小さな人体>と解釈しました。 それと同じように、我々は地球のことも<大きな人体>と解釈しなければなりません。 地球はひとつの<いのち>、ひとつの生命体です。 小さなマンドラゴラに人を癒す力があるなら、きっと我々にも地球を癒す力があるはず。 <小さないのち>も<大きないのち>も、見えない部分では深く深く繋がっているからです。 業務連絡:HPはこちらから
by viva1213yumiko
| 2018-11-12 11:15
| おとぎ話・こぼれ話
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