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ドン・キホーテ万歳

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製作過程で次から次へと不運が重なり、完成までに30年もかかってしまったという曰く付きの映画<テリー・ギリアムのドン・キホーテ>


手塩にかけた企画が何度も頓挫し、それでも執念と心意気でやっと公開に漕ぎ着けました。


ストーリーはセルバンテスの小説<ドン・キホーテ>をモチーフにしたコメディで、映像作家の主人公が少し狂った老人のたわ言に付き合ううちに、老人の夢想が乗り移ってしまうというそんなお話です。


作り話を聞いてるうちに作り話が現実になってしまう。


そんな意味深いテーマがあるのです。

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皆さんあの<ドン・キホーテ>のことは当然知ってますよね?


驚安の殿堂? いえいえ違います。


小説の主人公、<ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ>のことです。



17世紀のスペイン。


騎士道物語を読み過ぎで、現実と物語の区別がつかなくなり、正気を失くした下級貴族出身の男。


自らを遍歴の騎士<ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ>と名乗り、世の中の不正を正すために旅立つべきだと考える。


そして貧相な馬<ロシナンテ>にまたがり、農夫<サンチョ・パンサ>を従え冒険の旅へと出発するのです。


荒野の風車を巨人と思い込み、全速力で突進し跳ね飛ばされたり、田舎娘をドゥルシネーア姫と信じて忠誠を誓ったり、村の人々を大いにかき回すのです。


騎士道物語のパロディーみたいな滑稽本なんですね。


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<ドン・キホーテ物語>は、喜劇であると同時に悲劇でもあります。


どこまでも叶なわぬ夢を追い求める老人の、悲しい物語でもあるのです。


<ドン・キホーテ>は現実と空想の区別がつかない狂人です。


いや、もしかするとあえて狂ったふりをして、嫌気がさした現実から逃避しているだけなのかも知れない。


結構いますよね〜


人から優しく扱われたくて、ボケたふりするお年寄り。


<魂の戦略>とでも言ったら良いでしょうか。


ボケはつまらない現実に打ち勝つ最大の武器でもあるのです。


<ドン・キホーテ>のお話しはひとりの老人が信じた想像上の物語が、現実の世界を乗っ取り追い越してしまうところが面白い。


それが世界文学史上の傑作となって今も残っているのは、さらに拍車をかけて面白いですよね。

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世の中には誇大妄想狂というビョーキがあります。


妄想とは誤った思い込みのことですね。


このビョーキの人は皆んながありえないと考えることを強く信じてしまう。


本人はそれに強い確信を持っており、周囲から説得されても容易には撤回出来ない。


そこがまた厄介なとこなんです。


しかし本人にとっては噓偽りのないれっきとした真実。


だから余計に困っちゃうんですよね~


明らかに現実的じゃない妄想から、あっても不思議じゃない妄想まで、妄想というのは実に幅広い。


「スカイツリーから電波が出て脳波をコントロールされる」とか「近所の人が常に監視している」とか、私もいくつか聞いたことがあります。


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妄想には次のような以下のような種類があるそうです。(心理学者による分類)


最初は単なる思い込み程度。


でもそれが重症化すると、<統合失調症><うつ><妄想性障害><妄想性パーソナリティー障害>などの病気へと進行するそうです。



<被害妄想>:他人が自分に悪意を持っていて、自分は被害を受けていると思い込む妄想

自分は苦しめられ、追跡され、妨害され、騙され、盗聴され、嘲笑されているなどと思い込む


<監視妄想>:誰かに見張られ、監視されていると思い込む妄想


<操られ妄想>:電波やテレパシーで自分が操られていると思い込む妄想


<関係妄想>:自分とは関係ないことを自分と関係あるように思い込む妄想


<恋愛妄想>:相手から自分は愛されていると思い込む妄想


<罪業妄想>:自分はとても悪い人間だと思い込む妄想


<心気妄想>:自分が病気だと思い込む妄想


<貧困妄想>:自分はとても貧しいと思い込む妄想


<宗教妄想>:自分が宗教的に特別な人間だと思い込む妄想


<誇大妄想>:自分がナポレオンだったり、皇室の人間だったり、正義の味方だなどと思い込む妄想


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「なんだ、自分にも当てはまるじゃん!」


これを見てそう思った人も正直多いのではないだろうか?


実は私も結構な妄想癖じゃないかと踏んではいるのです。


でも私の場合、それは趣味でもありまして、通常の生活とは別のものと切り離しております。(笑)



このように誰でも多かれ少なかれ何かしらの妄想を持っているものなんです。


一度妄想に駆られてしまうと、他のことも全てその妄想を基準に考え始めます。


皆んなが敵だと思い込み、全てのことが自分への悪意と感じる。


夫が浮気してると確信し、夫の様々な行動が浮気の証拠に見えて来る。


他人が見たら全然証拠にならないことまで、証拠に思えてしまうのです。


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それまで問題のない人生を送った人(むしろ評判の良人ほど)が、中高年になって突然問題を起こし始めることもあります。


真面目だったあの人が、急におかしいこと言い始めたり、周囲とトラブルを起こしたりする。


ただ単に思考に柔軟性が無くなっただけの場合もあるでしょう。


認知症の場合もあるし、妄想の場合もある。


だからちょっと厄介なんですよね〜


若年層だって侮れないですよ。


ネットで似通った情報を発信し合ううち、事実無根の情報に振り回されて、どんどん妄想が膨らみ混乱して行く。


似たような妄想を持つ者同士が交流すると、妄想にさらに拍車がかかり大ごとに発展するケースもあります。



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そのような妄想のある人が奇妙なことを言って来た時、一体どうしたら良いのでしょうか?


まずは「本当かも知れない」という前提で、良〜く話しを聞いてあげましょう。


それが基本です。


そして「やっぱりこの話しは妄想だな」と感じたら、相手の妄想に振り回されないようにしなければなりません。


けれどそこら辺はあくまでも慎重に進めて下さいね。


話しを聴く側にとっては明らかな<ホラ話><デマ話>でも、その本人にとっては真実の世界。


一方的に「妄想だ!」と指摘したらややこしいことになる。


下手をすると余計に妄想を強めかねません。


「これは妄想だな」と感じても、本人の悩み苦しみを否定せず、共感して接する必要があります。


妄想内容に巻き込まれずに、その人の悩みに寄り添って相談にのる必要があるんです。


でもこれには忍耐力が必要なんですね。


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<ドン・キホーテ>は妄想の達人でした。


騎士道物語の読みすぎで自分を本物の騎士と思い込んでしまったのです。


日本だったら戦国武将の生き様にハマって、戦略とか格言とかを真似るオッサンって感じかな?(笑)


そう言えば鎧兜とか日本刀とかのコレクター、確かに多いですしね~(笑)


<ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ>


伝説の勇者。


遍歴の騎士。


ちょっとマヌケで憎めない、そんなオッサンだったんじゃないかって思うんです。


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でもね・・・


皆さんも良く考えてみて欲しいんだけど、私たちの人生そのものも<作り話>みたいだとは思えませんか?


実はどんな人の中にも<ドン・キホーテ>は眠っているんじゃないのかしら?


あなたの中の<ドン・キホーテ>性とは、まだ花開いてないあなたの可能性のこと。


風車を巨人とみなして闘ってしまう、眠ったままのあなたのパワーのことです。


心の中の妄想を、妄想のまま封印しておくのはとても勿体無いことです。


装備を整え、機を見計らい、勇気を持って挑むなら、風車の巨人も必ず倒せる。


人が生きる道を説き、世の中の不正を正すことも出来る。


思いを寄せる姫君に、膝まづいて愛も誓えるのです。


さあ、今こそあなたももう一度。


眠りについた<ドン・キホーテ>性を、揺り起こしてはみませんか?


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おまけ:

驚安の殿堂<ドン・キホーテ>は「既成の常識や権威に屈しない<ドン・キホーテ>のように、新たな流通業態を創造したい」という願いを込めてこのネーミングにしたそうだ。


あの独特の圧縮陳列を武器に、大手小売業の風車に挑んで大きくなったという訳だ。

昨年社名を変更し、また新たな冒険の旅に出発したらしい。





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by viva1213yumiko | 2020-03-08 16:07 | オペラ・バレエ・映画 | Comments(0)
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